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ニュージーランドではこの2週間、安楽死合法化へのディベートが続いていました。
時を同じくして、ある12歳の少女が直面する切ない訴えが、手紙という形でジャシンダ・アーダーン首相に届けられていました。
その行動がきっかけで、世論と国を動かそうとしています。
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末期がんの父が置かれた現実
ニュージーランド南島の最南端の街、インバーカーギル。
そこに住む一家の主であり、12歳の少女の父親が昨年10月、わずか38歳の若さで末期の大腸がんと診断されました。
余命わずか8週間と告げられ、現状の公共医療システムの下では、腫瘍科専門医の診察を受けるだけでも、6〜8週間待ちと告げられた現実。
この耳を疑うような事態に、家族は高額なプライベート医療を選択するしかありませんでした。
切羽詰まった状態でしたが、3時間近くかかるダニーデンの地で開業する医師の予約が、ものの1週間足らずで取れ、治療を開始して5ヶ月の余命延長ができ、今も生き長らえています。
両親は、この『延命はお金次第』という事態が、ニュージーランドに住む他の人々に起きて欲しくない気持ちを訴えかけるため、5月から政府に働きかける準備を始めました。
去り行く父のために起こした少女の行動
そして少女も、まだ生きていてくれている父親との日々を愛おしみながらも、その父親が近い将来去り行く現実に母親・姉と共に直面し、行動を起こしました。
それは、両親が5月に始めた、『国立がんエージェンシー設立』を訴える署名運動を、ニュージーランド首相に直接伝えるためでした。
手紙は2週間前に首相に届けられ、昨日ジャシンダ首相からの返事を受け取ったことを、母親が明らかにしていました。
少女が書いた手紙は、インターネット上でもシェアされていますが、彼女の読み上げる言葉の数々は、涙を誘います(悲)
国立がんエージェンシー設立請願書を昨夜提出
そして昨夜、地元の数百人もが集まる、少女の父親の公式な『お別れ会』が開かれました。
そこでは、何と14万通もの署名を集めた『国立がんエージェンシー』設立請願書の一部が、家族から出席していた議員に手渡され、国会に届ける硬い約束がなされました。
ニュース映像を見ると、父親の顔は末期がん患者特有の、土気色を帯びていましたが、出せ得る力を振り絞って会場に集まる人々に、自身の存在意義を確認しているようでした。
私のまわりにもがん患者の悲しみが
この家族の置かれた状況は、残念ながら現状ニュージーランドの医療をよく反映しています。
私は今年に入ってから、近所でお気に入りのレストランを見つけたんですよ。
それ以降2〜3週間ごとに出かけ、町イチバン!と言っても過言ではない美味しいエスニック料理と、日本に住んでいたこともあるシェフとのおしゃべりを楽しみにしています。
そのシェフ、先月会った時にどうもお腹のあたりが痛み、調子が優れないと聞いていて気になっていたんです。
すでに血液検査や精密検査はしてもらったと言っていました。
ところが先週末、そのシェフがかなり緊迫した形相で、3ヶ月経っても検査のみで、明らかにすい臓あたりに何かあって、症状も悪化してきているのに、未だ治療が受けられない現実を聞かされました。
その場では、シェフを励ますことしか出来ませんでしたが、ふと以前、私が治療の不十分さに行き場を失いかけたとき、無料で患者の力になってくれた『Health and Disability Advocacy Service』を思い出し、メモを残してきました。
すでにニュージーランドの医療に期待を失いかけていて、お店を売り払い、異国キューバに行って治療するかもしれないとまで話していました。
はっきりとガンとは分かっていないものの、本人はそれなりに分かっているようで、来週また会いに行って力になりたいと思っています。
ここまで待たせて、治療が始められず患者を不安に落とし入れるのって、ハッキリ言って罪ですよね!?
上記のインターネット請願書署名運動は、現在も続いていています(7月7日まで)↓↓
隣国オーストラリアと比較しても、ニュージーランドのがん患者の余命率は、残念ながら遥かに低いことは、よく知られています。
私はいざとなったら、ニュージーランドではなく、日本に行って医療を受けるために日本のガン保険を払い続けています。
ただ、ニュージーランド以外でガン治療を受けられない人々が多いわけですから、早急に大金を払うことなく、安心してガン治療にアクセスできる抜本的な改革が望まれますよね。
今日は、深刻な話をしましたが、今日のようなブログを通じて、皆さんの日頃からの備えにつながるヒントが見つかれば幸いです。
では、また明日!
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