Kia Ora! 今日もお越し頂きありがとうございます。
ニュージーランドは、今日から暦のうえでも冬入りです☃
ここ数日、日本の春一番のような激しい風に、時折雨も混じる悪天候に閉口しています 🙁
山沿いの各地では、スキー場開きも行われました。
私はと言うと、昨日はシーツ交換と共に電気毛布をベッドに忍ばせて、本格的な冬入り準備をしました♪
布団から出たくない病になりそう...
さて、今日のお話はですね。
数日前に、ちょっと気になる日本の病院がらみのニュースを2つも目にしたんですよ。
ニュース記事はこちら↓↓
『なぜ気になるか』と言うと、もちろん医療を受ける側としての不安が1つ。
そしてもう1つは、実はニュージーランドでも今年に入って、さいたま赤十字病院のケースとよく似た出来事が発覚していたため。
国内では、トップニュースで取り上げられる事態になっていたんですよ(ヮ(゚д゚)ォ!)
詳しいニュースはこちら↓↓
個人的にも業界に詳しいことから、これはお話しておかなければと思いまして。
では、話を進めて行きましょう!
医療器具は再生しまくり!?
皆さんの中には、今までに大なり小なり、手術を受けたことがある方もいらっしゃると思います。
医療器具は当然のことながら、滅菌あるいは部位や器材によっては、適切に消毒したものが用いられます。
もし、それらの器具に病原菌が付着したまま使われたら、術部から感染症を起こし、患者さんは最悪死に至ります。
これは動物でも同じで、ペットを扱う動物病院でも、医療器具の滅菌消毒は欠かせません。
通常、再生可能な医療器具は、高品質のステンレススチール製が大半です。
たとえば、手術用の様々なハサミや鉗子、開創器などですね。
ステンレススチール製の器具は強度や熱耐性も高いことから、しっかりと有機物を洗浄除去後、次の利用に合わせて機能チェックをしながら、ケースに詰め合わせたり、滅菌用パウチに袋詰めして封をします。
そして、再生過程の最終段階として、オートクレーブと呼ばれる高圧蒸気滅菌器にて料理(笑)され、クールダウンし、完全に乾燥した状態で保管されます。
そして、また患者さんの元へと、この流れを幾度となく繰り返している訳です。
ちなみに、静岡県立がんセンターの耳鼻科用ファイバスコープについては、耐熱性が無く、デリケートな機材のため、低温のまま化学的に滅菌するか、高度消毒が行われます。
その消毒液が2年も交換されずにいたとは...
ディスポーザブルは限定的
ここで、あれ? ディスポーザブルのもの使っていればそんな事しなくてもいいのに...
と思った方はするどい!
確かに、全てが使い捨てであったら、前の患者さんに使った医療器具が再生処理されて、次の患者さんにたどり着くということはなくなります。
ただし、医療器具って、メチャメチャ馬鹿高いんですよ!
小さなピンセット1つがウン万円とか、複雑な構造の物やセットだと直ぐにウン十万円、合計すると百万円単位の額なんてザラです。
さすがに現代の医療では、注射器と注射針は使い捨てが当たり前。
でも例えば、大きなガラス製の特別用途用の注射器は、未だに再生しているんですよ。
結局、再生利用することで医療費を抑制している部分が大きいのです。
それから、膨れ上がる医療廃棄物の問題もありますしね。
日本の医療器具滅菌は委託業務が主流
以前から、医療器具の滅菌消毒作業を担う病院中央材料部(略して中材)のスタッフは、よく新聞の折り込み求人広告などで募集されてきました。
つまり管理職を除いて、その多くがパートタイマーで時給制の一時雇用。
病院には無くてはならない部署なのですが、いわゆるキツい・汚い・危険と思われる職種です。
日本の公立病院の中には、自前の職員で運営している中材もまだまだある様です。
一方、私立病院の場合は、中材自体は手術部やその近くにありますが、その多くが専門業者によって運営委託されている昨今。
マニュアル化されていて、いわばトレーニングさえ受ければ、大学生でも働けるわけです。
でも、取り扱う物は医療器具であって、人体に使われる高度管理物です。
食品管理と比べても、はるかに厳しい基準で管理されるべき業務です。
そんな所で、今回の滅菌業務ミスが起きた訳ですね。
滅菌自体は、複雑なコンピューターシステムで制御された機械の中で行われます。
でも、その操作や精度管理を行うのはもちろんヒト。
ヒトが関与する以上、ミスをゼロには出来ませんよね。
だから、万全な複数段階チェックが必須なのですが...
ニュージーランドの病院中材は奴隷
冒頭で触れた、ニュージーランドの公立ホークスベイ病院で起きた滅菌業務ミスも、2か月に及ぶ調査結果によると、夜間スタッフのオートクレーブ・スイッチ入れ忘れ。
しかも、このスイッチ自体にも問題があったことが発覚。
入りの悪くなったスイッチを、数カ月も未修理のまま、使い続けていたことを病院は認めています。
更には、接続されているプリンターも故障中で、コンピューター画面上でしか滅菌工程をチェック出来ない状態だったそうです。
そして、翌日現れてオートクレーブから医療器具を取り出したのは、滅菌技術をしっかりとトレーニングされたわではないスタッフ、恐らく看護師。
滅菌工程チェックが抜け落ち、医療器具は滅菌されたものと見なされて、次の利用者の元へ。
日本で起こったミスと、非常に良く似ていると思います。
ニュージーランドの病院中材は、まだ業務委託は一般的ではありません。
ですので、直接雇用されたスタッフが殆どで、表向きはトレーニングの機会も得やすいと言えます。
ところが、中材は病院医療スタッフからの文句のはけ口とはなっても、給与スケールも低く、決して優遇されている部署ではありません。
どちらの病院のケースも、これ以外にも、実際に現場のオペ看護師がケースや滅菌パウチの封を切るギリギリまで、確認のチャンスはあったハズなのですが...
それぞれの器具やセットには、ケミカル・インディケーターと言って、滅菌処理を通ると色が変わるコードが付いていて、開封使用前にその色と包装の状態をチェックすることは、オペ看護師を含む、現場医療スタッフの責任です。
まとめ
日本の2つの病院の滅菌・消毒業務ミスと、ニュージーランドの公立病院の滅菌業務ミス。
どちらにも、以下の共通点があるようです。
- スタッフのトレーニング不足
- 夜間・早朝のスタッフ体制
- 財政難に帰するメンテナンス不備
- 管理者の現場危機管理・認識不足
- 起こって直ちに発覚しない現場体質
ホークスベイ病院の滅菌ミス発覚後、ニュージーランド全ての、20に及ぶ地域保健機関管轄の病院の調査もなされました。
詳しいニュースはこちら↓↓
そして残念ながら、複数の病院で問題点が見つかりました。
中には、未滅菌の医療器具を使われた恐れのあるケースが、更に明るみに!
ここまでお読み下さった皆さん、お疲れ様でした。
そして、お読み下さってありがとうございます。
ずいぶんと書いてしまいましたが、患者さん側からしたら、『知らされなければわからない』ではいけないと思いまして。
では、また明日!
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